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太陽光発電の仕組みと原理・電力買取とは?

太陽光発電は誰でも知っていると思いますが、太陽の光でなぜ発電できるのかご存じでしょうか? あの黒いパネルはどのような働きをしているのか、今回は太陽光による発電の仕組みと電力買い取りの流れを見ていきたいと思います。

電気はどうやって作られるの?

電気の仕組みを考える人

そもそも電気はどうやって作られているのでしょうか? 我が国では、火力、原子力、水力、風力、太陽光、バイオマスといろいろありますが、太陽光発電以外は基本的に、それぞれの「力」を使って発電機を動かし発電を行っています。火力発電所では、燃料(石油・石炭・天然ガス)を燃やして水を沸騰させ、蒸気の力で発電機を動かすことによって発電します。風力発電は風の力で、水力発電は水の落下する力で発電機を動かすことによって発電します。原子力発電はウラン核分裂の熱エネルギーで水を沸騰させ、蒸気の力で発電機を動かすことによって発電します。バイオマス発電は「バイオマス燃料」を燃やして発生する蒸気やガスで発電機を動かすことによって発電します。

電力会社の主力の発電方法は「火力発電」、「水力発電」、「原子力発電」ですが、それぞれの「力」を使って発電機を回し電気を発生させているということで分類されていますが、電気を発生させる原理に変わりはありません。

水力発電

水力発電は、水の力を使ってタービンを回して電気を発生させます。川のような流れを利用して発電することもできますが、大きなエネルギーを得るためには滝のように高低差を利用する必要があるので、ダムを作って貯水と放水によって水力を得ます。水力発電の優れているところは、主力の電力でありながら自然エネルギーを使っているということです。ただ、ポンプでくみ上げて利用するタイプの水力発電の場合、その動力は水力以外の電力が使われるため、完全なエコとまでは言えない場合もあります。

火力発電

火力発電は、石油、石炭、液化天然ガスなどを燃料としてそれを燃焼させ、水などの液状を気化させ水蒸気やガスによってタービンを回して電気を発生させます。最も簡単に電気を発生させることができますが、日本は資源が乏しい国なので、燃料は輸入しなければならず、コストが高くなってしまうという問題があります。特に有事の際は燃料の供給が不安定になる可能性があるので、代替エネルギーの確保は欠かせません。また、燃焼に伴いCO2(二酸化炭素)が発生するので、環境面においても課題があり、国が掲げる2020年度までの温室効果が図削減目標を達成するためにも、代替エネルギーの確保が急がれます。

原子力発電

原子力発電気を発生させます。ウラン化合物は、石油などの化石燃料に比べ発電コストが安価と言われてきましたが、東日本大震災で福島第一原子力発電所が被災したように、ひとたび災害が起きれば甚大な被害をもたらす可能性があるので、必ずしも低コストとは言えない発電であると考えられるようになっています。そのため、多額の安全対策費用がかかります。また、使用済み燃料の廃棄費用なども考える必要があります。

太陽光発電のしくみ

太陽光発電の仕組みを図解します

これまでの発電のしくみは、なんらかの力でタービンを回して電気を発生させていましたが、太陽光発電のしくみはどうなっているのでしょうか? 太陽光発電は、ご存じのとおり太陽光パネルに光があたっているだけで、可動部分はありません。そのことからも電磁誘導によって発電しているのではないことがわかると思います。では、どのようなしくみかというと、「光電効果」によって電気を発生させています。

光電効果とは、光が物質にあたると「電子」が飛び出すという現象です。物質から電子が飛び出すと「正孔」が生じ、「正孔」がプラスの電荷、「電子」がマイナスの電荷となり、電流を生じさせます。ただ、「電子」と「正孔」は引き合う性質を有しているので、何もしないと結合して熱となってしまいます。そのため、これらを引き離す必要があります。その役割を担うのがあの太陽光パネルの中にある「半導体」です。太陽光パネルには、「P型シリコン」と「N型シリコン」という半導体が張り合わせられています。P型シリコンとN型シリコンの接合面に太陽光が当たると、「電子」と「正孔」が発生し、「電子」はN形シリコンへ、「正孔」はP形へ引き寄せられこれにより電気を取り出すことが可能になります。ちなみに「シリコン系」以外には「化合物系」や「有機物系」のものがあります。

太陽光は無くなることを考える必要はなく、無料だという点で優れています。一方、太陽光発電は、天候に左右されること、また、夜間は発電できないので電気の安定供給という点では課題があります。

再生可能エネルギーの将来性

太陽光・風力・地熱・バイオマスなどの再生可能エネルギーは 、日本でどの程度増えているのかというと、2016年末までに風力発電の累積導入量が5億KW近くに達し、太陽光と会わせて8億KW近くで、原発の約2倍になるとの予測です。日本国内の自然エネルギーの比率も、2014年が12.1%、2015年が13.8%、2016年が14.9%と着実に伸びてきています。環境に配慮したこれら再生可能エネルギーの発電量は今後益々増えていくことが予想されます。(環境エネルギー政策研究所の資料による)

電力会社の買取制度

システムの点検をする人

2012年7月1日から太陽光など再生可能エネルギーで発電した電気は電力会社が一定価格で買い取ることを「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」により義務付けられました。これを「固定価格買取制度」といいます。対象となるのは、「太陽光」だけでなく「風力」、「水力」、「地熱」、「バイオマス」で、一定の要件を満たす設備を設置して、新たに発電を始めた人が対象です。この制度が導入されている背景には、再生可能エネルギーの導入を促進し、普及させるために発電設備等を大量生産することにより投資コストの低減を図ることにあります。

この固定価格買取制度は、「再生可能エネルギー賦課金」によって支えられています。再生可能エネルギー賦課金は、各家庭や会社などで使用した電気料に一定の割合を掛けて計算され、電気料金に加算されています。再生可能エネルギーは、すべての国民に負担を課してでも普及させたいというの(改正FIT法)」がスタートしました。改正のポイントは、①新認定制度の創設、②コストの効率的な導入、③リードタイムの長い電源の導入、④減免制度の見直し、⑤送配電買取への移行です。特に影響があると思われる点は、「事業計画書」の提出が義務付けられるようになったことです。また、買取義務者が「小売電気事業者」から「送配電事業者」に変更になりました。いずれも、旧制度の問題点を解決するために改正されたもので、国民の負担をこれ以上増加させず、より適切な太陽光発電ビジネスが行われるように法が整備されたと言えます。

電力会社への売電のしくみ

屋根に設置した太陽光発電

『電気は水と同じで電圧が高い方から低い方に流れる』という性質があります。太陽光発電設備は、この性質を利用しているので何もしなくても配電線に電気が流れることで売電する仕組みとなっています。
太陽光発電所の電圧は、周囲の配電線を流れる電気よりもやや高い電圧に設定されます。そうすることによって、何もしなくても発電された電気が配電線に流され、電力会社に売れていくのです。
「電力は基本的に溜める事ができない」ことから、需要と供給のバランスは同時に同量の需要と供給を満たす必要があります。
原則としては、電力会社が火力発電所の出力を抑えることで、需給バランスを保っています。しかし、原子力や水力、地熱など、出力のコントロールが難しい発電設備はベースロードと言われ、基本的に出力を抑える事はできません。

多くの太陽光発電所が同じ配電線に接続されたり、休日など周辺の電力需要が一時的に大きく低下する事により、配電線側の電圧が上がってしまう事があります。
そうなると、配電線に流れる電気の電圧が太陽光発電所から出力される電圧を上回ってしまい太陽光発電所で発電された電気が配電線に流れていかなくなってしまいます。これが「電圧上昇抑制」です。

2012年7月のFIT制度開始以来、急激に増えた太陽光発電を始めとする再生可能エネルギーからの電力供給が原因で、場所や時間帯によっては火力発電所の出力を抑えるだけでは対応できない水準で供給が需要を上回る日時が発生する事態が予測される様になりました。この状況を放置すると電気の供給過多による停電などが懸念されるため、太陽光発電所を始めとする再生可能エネルギーの出力を抑える必要性が生じ、一部の電力会社区域では、その受給バランスの予測値に応じてルール化されました。それが、出力制御の抑制です。制御方法には以下のようなルールがあります。
また出力制御ルールがある区域では、出力制御対応機器の設置が義務化されている区域もあります。

  • 無制限無補償(指定ルール)
    ◎制限なく抑制され補償はなし。
    接続申込みが接続可能量を超えた場合、それ以降に接続を申込んだ接続発電設備を対象に、上限時間なく無補償で出力を抑制するよう要請できるルールです。
  • 360時間ルール(新ルール)
    ◎電力会社が自社の発電設備を抑制しても供給が上回る場合に年間360時間を限度に無補償で出力を抑制することを要請できるルールです。
  • 30日ルール(旧ルール)
    ◎◎電力会社が自社の発電設備を抑制しても供給が上回る場合に年間30日間を限度に無補償で出力を抑制することを要請できるルールです。

※一見、30日ルールは720時間になるので、30日ルールの方が抑制が大きい様に感じますが、360時間ルールの場合は、発電がピークの時間のみの要請も可能なため、11時~15時ころの『良い時間帯』だけを指定されてしまう可能性もあり、360時間ルールの方が影響は大きい場合があります。

まとめ

今回は、電気が作られるしくみと各種発電の方法、太陽光発電などの再生可能エネルギーの可能性について見てきました。太陽光発電のしくみは少し難しかったかもしれませんが、構造はいたって単純なものです。再生可能エネルギーの固定価格買取制度は、国が推進している政策なので、今後も注目したいと思います。

参考サイト:

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。

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